施設紹介
◎依存症者回復支援センターエールとは?
依存症者回復支援センター「エール」は2020年3月に、病気である依存症が原因となって様々な犯罪行為を繰り返している方々への支援の場として誕生しました。薬物依存症や窃盗症、性依存症、ギャンブル依存症などが原因で法を犯す方が多数存在します。しかし、刑務所生活や裁判から解放されて地域に戻った方々は、どうしても生活の再建を優先し、依存症の治療にはなかなか取り組まないのが現実です。その結果、依存症が原因の犯罪の場合、再犯を繰り返します。
依存症と犯罪は密接な関係にあります。依存の行為自体が犯罪となる薬物依存症(違法薬物)や窃盗症(万引き等)。またアルコール依存症と関係のある犯罪として、家庭内暴力(DVや児童虐待)や窃盗(アルコールや金品目的)、傷害(飲酒をともなう暴力)。ギャンブル依存症による横領(ギャンブル行為のための換金目的)。性依存症では盗撮や迷惑防止条例等の違反です。最近ではゲーム障害(ゲーム依存症)の方の万引き(課金により生活困窮となった結果)や家庭内での暴力なども見受けられます。全体的には携帯電話の多重契約や横流しなどの詐欺行為もあります。
エールは、社会での立ち直りと依存症からの回復を両立させるために、医療や福祉、自助グループなどの社会資源を組み合わせた支援のコーディネート機関です。エールの母体となる法人には、通所施設として障害福祉サービス事業所の、自立訓練(生活訓練)事業所や就労移行支援事業所があります。また、入所施設として共同生活援助事業所(グループホーム)等の利用も可能です。心理テストやカウンセリングを行う機関もあり、法人内外の他機関・多職種の連携で立ち直り支援を行います。
◎エールでは、どのような支援をするのか?
エールではまず、治療(回復)を優先的に考えます。依存症になっている方が治療(回復)につながらない状態で仕事や住居の確保をしても、依存症が再発してしまえば結果的に仕事も住居も失うことになりかねません。まずは、治療をするためのアセスメント(様々な情報収集)を行います。次に、どのような支援の組み合わせが有効かを考えます。そして、実際に治療(回復)につながった方々の伴走支援を行います。
依存症はもともと、ご本人やご家族がだれにも相談できずに孤立する病気です。犯罪を起こした依存症の方々やご家族はさらにその傾向が強まります。私たちエールはそのような方々が、地域社会とつながるお手伝いをしています。悩まれる前にご相談され、地域の支援を受けることをお勧めします。
◎依存症からの回復とは?
依存症からの回復は例えば薬物の摂取をやめたり、盗撮をしなくなることが最終的な目的ではありません。もちろん再犯をしないことは最低しなければならないことです。しかし、依存症はやめること、再犯をしないことが目的になるとうまくいきません。大切なことは普段の行動を変えていくことです。普段の行動を社会的にも精神的にも心理的にも整えることで、依存症の再発や再犯を遠ざけることが大切です。依存症は慢性疾患とされていて治療には長い時間が必要になります。